CASほや刺身 導入事例9/東京・フランス料理「ビストロ13区」 様

替わりになるものはない。知らないよりも知った方がいいに決まってる

今回はまず、 原点を知るという意味でほやをそのまま召し上がっていただくことから始めました。お刺身も普通はわさび醤油などで食べますから、本当にそのままということは、なかなかないと思います。

海のものですから、もともと軽い塩味があります。 そこに加えて苦味や甘味、酸味、旨味とほやには五味の全てが含まれます。三國シェフ (三國清三氏 / 料理家)も子供のころ食べたほやが後の自分の味覚に大きな影響を与えたとおっしゃっていました。原点を味わった上で、例えばそこに塩が加わるとどうなるか、といった変化を感じてもらうのもおもしろいと思います。

そのままを出そうという勇気が出るのは、ほやだからです。本当になかなかこんな食材はないし、替わりになるものも思いつきません。単体で食べておいしいのに、他も引き立ててくれる。それどころか、組みあわせで何か違う次の展開を生み出してくれるような存在です。特に水に関してはものすごく引き立ててくれます。 僕は何より、飲み物とあわせた時の口の中の広がりがおもしろいと感じています。

水との相性、というとお酒をイメージされる方も多いかもしれません。でも、普通の真水でもほやを口にする前と後では味が違います。水が変わるくらいですからお酒ももちろんです。お酒を口にした後に、料理を口にすると、自然ともう一度お酒に手が伸びる、 ほやはそういう類の食材です。食べたことがない人にとっては、 ただおいしいということではなくて、 初めて出会う食体験だろうと思います。

今、実際のところ、フランス料理でほやはほとんど使われていないと思います。誰もやってみないからこそやってみたいと思ったんです。これだけの特徴がある食材です。知らないよりも知った方がいいに決まっています。

初めての食材は、まず何を「拾う」か決める

これを読まれる方の中には、ほやを全く知らない方もいらっしゃるかもしれません。初めての食材と向き合う時に、僕らがよくやるのは「その食材のどこを拾うか」という考え方です。例えば、ほやを「ホヤ貝」と呼ぶ人もいます。もし「貝のようだ」と感じたならば、酒蒸しにしたり刺身にしたり、どんな調理方法があるかな、と考える流れがひとつできます。「磯の香りが強いな」と感じたならば、同じような食材は何があるかなと想像します。「牡蠣かな?」と浮かんだら、それをどうやって食べるだろう、生でも食べるしフライにもするしグラタンもあるな、と考えていきます。こうやってイメージの流れが出来ていくのです。

ちょっと大げさかもしれませんが、ほやの可能性は無限大だと思います。 お刺身も塩辛もあって、天ぷらもあう。と、いうことは生でも火を通してもおいしくて、油との相性もいいということになります。ならば、 フランス料理 などの洋食にも合わないはずはありません。

今回の料理は、生もあり、火の通し方も食感もさまざまです。でもどう調理しても「ほやを食べた」という食感が共通して残るのも、ほやのひとつの特徴だと思います。どんな形にしてもほやはほや。そこもなかなか他の食材には見られない点です。

僕は考え方として、まず素材を活かすということを大切にしています。お客様の感想を「おいしい料理を食べたな」ではなく、「おいしい〇〇を食べたな」にしたい。料理としておいしいのはもちろんなのですが、 ほやでもじゃがいもでも肉でも、その一皿の主役は何だったのか、素材が主張するような料理を作りたい。「ああ、あの店で食べたほやはうまかった」と思い出してもらいたいのです。

ほやに決まりはない。自由な発想で新しい可能性を

ほやに関しては、結構いろいろな料理を試してきました。知られていないということは、「こうでなくてはならない」という固定概念がないということですから、自由に発想できるということです。今は、アボカドとあわせたセビーチェにするところまではやってみたので、次はフルーツとあわせてみたいと思っています。「海のパイナップルは本当にパイナップルとあうのか?」とか(笑)。半分は遊び心ですけど。

フランス料理では、もともとフルーツとあわせたりする料理が結構あります。アジアの方の利用も増えてきていると聞きますので、そちらでよく食べられている料理や食材とあわせてみるのもおもしろそうです。南国のフルーツ、例えば熟したパパイアなどはおいしそうです。マンゴーはちょっとどうだろう?と思いますが、やってみたらおもしろいかもしれない。もともと水分を持っている食材との相性はいいので、新しい可能性が出てくるかもしれません。もう、おいしいものができる自信しかありませんね。

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ビストロ13区
フランス料理を日常のシーンで楽しめるビストロです。 しっかりと食事を楽しむ、ワインとおつまみを楽しむ、使い勝手の良い大人の隠れ家です。
手造り無添加にこだわった本当に美味しい料理と美味しいお酒をお楽しみください。

「ミシュラン東京・横浜・湘南」 において、 2014年版から日本で採用された「ビブグルマン」に、東京のフレンチ・イタリアンの中から「5,000円以下で楽しめる良店」として選ばれ、「 BGMやスクリーン映像、使い込んだ無垢の床などリラックスできる雰囲気。定番は田舎風パテ。自家製ソーセージやカスレも人気だ。まずは「とりあえず」の小皿から始めるのがおすすめ。ふらりと立ち寄るのも良い。近所にあると嬉しい一軒である。 (※ ミシュラン東京・横浜・湘南」 2014より抜粋 ) 」と、紹介されました。